期待が他人に力をもたらす
- 2014/05/13
- 00:00
こんばんは。
今回のお話は、他者に対する期待がもたらす効果に関するお話です。
「期待」というと「彼は上手くやってくれるだろう」とか「彼女は頭が良いから」といったポジティブな内容を思い浮かべるかもしませんが、心理学では「彼はあまり課題を上手くできないだろう」といったネガティブな内容も期待に含みます。
今回は、特にポジティブな期待の効果についてお話します。
私たちは日常生活において他者に対して様々な期待をし、他者が期待に応えてくれると考えています。
もちろん、過度な期待は関係性の崩壊であったり、プレッシャーになってしまったりとネガティブな結果を生みだすこともあります。
ですが心理学では、基本的にポジティブな期待をされた方が、人は望ましい振る舞いを出来る傾向があることが分かっています。
例えば、「教師期待効果」という現象があります。
この実験では、実験者が知能テストを使って、事前に小学校の子どもたちの知能を測定し、今は成績にそれほど現れていないかもしれないが、将来この子は「優秀な子になる」可能性があるという子を何人か教師に教えました。
ちなみに、この「優秀な」子どもたちは、実際には知能テストの結果など何の関係もなくランダムに抽出されていました。
もちろん、知能テストの結果について、当の子どもたちは一切知りません。
その後、一定の期間をとって子どもたちの学業成績を比較してみたところ、「優秀になる」と実験者が教師に伝えた子どもたちは実際に他の子どもに比べて成績が高かったことが分かりました。
つまり、教師の生徒に対する期待が、教師の実際の振る舞いとなって、子どもたちの成績に影響を及ぼしたのです。
教師期待効果は、こうした他者に対する期待が、当人の行動を変化させ、もともと抱いていた他者に対する期待を本当のものにするという「予言の自己成就」と言われる現象の1つだと言われています。
このように人間の能力はもともと持っていたものだけでなく、当人が置かれた環境で、当人が抱かれる期待によって大きく変動します。
他人の期待なんかなくたって育つ子どもは育つと言いますが、言い換えれば、他人の期待がなければ大多数の子どもは育たないのです。
他にも、マイク越しに通話している女性が「美人だと実験者に思わされていた場合」と「美人でないと実験者に思わされていた場合」のそれぞれの男性の会話を録音し、「女性の側の録音部分だけ」を参加者に聞いてもらった実験もあります。
この実験では、参加者は女性の容姿など一切知らず、音声情報のみから、女性の社交性などについて評定しました。
すると、実験の結果、参加者たちは実際の女性の姿に関して一切知らないにもかかわらず、加えて、女性と会話した男性の発言を知らないにもかかわらず、美人であると実験者が男性に思いこませた女性の発言から、ユーモアがあり、社交的で、バランスのとれた性格だと評価したのです。
美人だと他人に期待されることが実際に女性を魅力的にしたのだと言えます。
このようにポジティブな期待は他人の行動をより良く、より望ましくする傾向があります。
逆説的に言えば、ネガティブな期待は他人の行動をより望ましくないものにすることもあるのです。
次回は、そういった内容についてご紹介します。
参考文献↓
社会心理学 (New Liberal Arts Selection)
今回のお話は、他者に対する期待がもたらす効果に関するお話です。
「期待」というと「彼は上手くやってくれるだろう」とか「彼女は頭が良いから」といったポジティブな内容を思い浮かべるかもしませんが、心理学では「彼はあまり課題を上手くできないだろう」といったネガティブな内容も期待に含みます。
今回は、特にポジティブな期待の効果についてお話します。
私たちは日常生活において他者に対して様々な期待をし、他者が期待に応えてくれると考えています。
もちろん、過度な期待は関係性の崩壊であったり、プレッシャーになってしまったりとネガティブな結果を生みだすこともあります。
ですが心理学では、基本的にポジティブな期待をされた方が、人は望ましい振る舞いを出来る傾向があることが分かっています。
例えば、「教師期待効果」という現象があります。
この実験では、実験者が知能テストを使って、事前に小学校の子どもたちの知能を測定し、今は成績にそれほど現れていないかもしれないが、将来この子は「優秀な子になる」可能性があるという子を何人か教師に教えました。
ちなみに、この「優秀な」子どもたちは、実際には知能テストの結果など何の関係もなくランダムに抽出されていました。
もちろん、知能テストの結果について、当の子どもたちは一切知りません。
その後、一定の期間をとって子どもたちの学業成績を比較してみたところ、「優秀になる」と実験者が教師に伝えた子どもたちは実際に他の子どもに比べて成績が高かったことが分かりました。
つまり、教師の生徒に対する期待が、教師の実際の振る舞いとなって、子どもたちの成績に影響を及ぼしたのです。
教師期待効果は、こうした他者に対する期待が、当人の行動を変化させ、もともと抱いていた他者に対する期待を本当のものにするという「予言の自己成就」と言われる現象の1つだと言われています。
このように人間の能力はもともと持っていたものだけでなく、当人が置かれた環境で、当人が抱かれる期待によって大きく変動します。
他人の期待なんかなくたって育つ子どもは育つと言いますが、言い換えれば、他人の期待がなければ大多数の子どもは育たないのです。
他にも、マイク越しに通話している女性が「美人だと実験者に思わされていた場合」と「美人でないと実験者に思わされていた場合」のそれぞれの男性の会話を録音し、「女性の側の録音部分だけ」を参加者に聞いてもらった実験もあります。
この実験では、参加者は女性の容姿など一切知らず、音声情報のみから、女性の社交性などについて評定しました。
すると、実験の結果、参加者たちは実際の女性の姿に関して一切知らないにもかかわらず、加えて、女性と会話した男性の発言を知らないにもかかわらず、美人であると実験者が男性に思いこませた女性の発言から、ユーモアがあり、社交的で、バランスのとれた性格だと評価したのです。
美人だと他人に期待されることが実際に女性を魅力的にしたのだと言えます。
このようにポジティブな期待は他人の行動をより良く、より望ましくする傾向があります。
逆説的に言えば、ネガティブな期待は他人の行動をより望ましくないものにすることもあるのです。
次回は、そういった内容についてご紹介します。
参考文献↓
社会心理学 (New Liberal Arts Selection)
- テーマ:科学・医療・心理
- ジャンル:学問・文化・芸術
- カテゴリ:社会と心理
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